平成26年度 文部科学省 成長分野等における中核的専門人材養成等の戦略的推進事業
「熊本県における実践的農業人材育成プログラムの開発と実施」

事業概要

近年の農業において、農業従事者の高齢化と後継者不足は深刻な問題である。実際、農林水産省の平成25年農業構造動態調査(*1)によると、平成25年2月1日現在における販売農家(*2)の農業就業人口(*3)は、239万100人で、前年に比べ12万3,500人(4.9%)減少している。そのうち、65歳以上の高齢者は147万8,000人であり、全体の61.8%(前年比1.5ポイント上昇)を占めている。一方、39歳以下の若い世代は17万4,400人(7.3%)となっている。平均年齢は66.2歳であり、現在の農業を支える高齢の農業従事者から農地やノウハウ等を引き継いでいく世代の人口が圧倒的に少なく、将来的に国内農業が成り立たなくなるおそれがある。

(*1)URL:http://www.maff.go.jp/j/tokei/kouhyou/noukou/

(*2)販売農家:耕地面積が30a以上または年間の農産物販売金額が50万円以上の農家

(*3)農業就業人口:15歳以上の農家世帯員のうち、調査期日前1年間に農業のみに従事した者、又は農業と兼業の双方に従事したが、農業の従事日数の方が多い者の人数

こうした状況の中、平成26年度から、就農をしようとする若い世代を支援する制度の拡充が行われた。例えば、「青年就農給付金制度」は、独立して就農するか、農業法人等への雇用就農をする者を対象に年間150万円が給付される。平成26年度からはこれに加え、親元への就農も、就農してから5年以内に経営を継承するか、共同経営者となる場合は認められるようになった。

準備型 経営開始型
給付金 年間150万円 年間150万円
給付年数 最長2年間(研修を受けている間) 最長5年間(農業を開始してから経営が安定するまで)
主な条件等
  • ・就農予定時45歳未満
  • ・都道府県等が定めた研修機関・先進農家・先進農業法人で概ね1年以上(1年に付き概ね1,200時間以上)の研修を受けること。
  • ・都道府県等が定めた研修機関・先進農家・先進農業法人で概ね1年以上(1年に付き概ね1,200時間以上)の研修を受けること。
  • ・経営開始計画が独立・自営就農5年後には農業(自らの生産に係る農産物を使った関連事業<農家民宿、加工品製造、直接販売、農家レストラン等>も含む)で生計が成り立つ実現可能な計画であること

「青年就農給付金の概要」
農林水産省のホームページより
http://www.maff.go.jp/j/new_farmer/n_syunou/roudou.html

本事業では、若者が先述の「青年就農給付金制度」(準備型)を活用して就農を目指すという状況を想定し、それに対応した研修の試行的な実施を行う。そのために、宮崎情報ビジネス専門学校が平成25年度に、成長分野等における中核的専門人材養成の戦略的推進事業「農業を中心とした新しいビジネスを創出・牽引する人材の育成」で開発した、「農業人材育成科」の教育プログラムの活用を図った。同教育プログラムは、2年間・2,488.5時間のプログラムとなっている。このプログラムをベースとし、「青年就農給付金制度」(準備型)にも対応した形に再構成し、その上で、熊本県における農業を取り巻く状況を踏まえ、県内の農業法人や関連団体・自治体等と連携し、より実践的なプログラムを目指した。

また、事業の推進に当たっては、宮崎情報ビジネス専門学校の職域プロジェクト、及び、それを基に「地域版学び直しプログラム」の開発・実証に取り組む船橋情報ビジネス専門学校の職域プロジェクトと連携し、課題の共有や情報交換等を積極的に行った。さらには、高崎経済大学の食・農林水産分野コンソーシアムにも指導を受けながら事業に取り組み、精度の高い事業成果が得られるように努めた。

学校法人宮崎総合院 宮崎情報ビジネス専門学校
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